もっとも長い一日         第4弾          H14/11/10          
10月13日(日曜日)
10月半ばだと言うのに日中の日差しはまだ厳しい。
今年はすっきりとしたさわやかな秋の日がやってこないのか、、、
今日は定休日、ゴロゴロしていてもしかたないので夕方からノコノコ出かける。
ちょっと離れたところの2軒ぐらいまわってみるか。

         羽曳野官庁街

              羽曳野市役所
1軒目の目的地は羽曳野市の中心地となるところで、市役所、警察署、法務局、保健センター
などが集中しているところだ。といっても大都市ではないので単に”集まっている”だけのことでであたりは閑静な住宅街。
コンビニ、レストラン、ホームセンターなどがぱらぱら点在するだけで、環境は静かで抜群にいい。

ところどころにイチジク畑などもある。
さてメイン道路から横にそれてすぐのところ、車を止めて徒歩で住宅街に入って行った。
20mぐらい歩くとすぐに目に飛び込んできたのが2階ベランダにあるダイキンエアコンの上噴出しの室外機・・・茶色のタイルの壁・・・なんとも言いがたい緊張感がはしる。

何度も何度も夢に見た光景が目の前に広がる・・・
おぉぉぉぉぉ〜!!あったー!  ついに見つけたー!!
ついにカタログの写真と同じ家が目の前にある。
うんうん、アンテナもまちがいない。
これは夢ではない!捜し求めてたものがすぐそこに・・・
その次の関門は表札だ・・・「大森」か「大山」か???

表札に目をやるのはこれまたドキドキものだ。
よく、映画のワンシーンで必ず出てくる決定的シーン、そうまさにそんな風な感じで、表札が迫力のある効果音とともにスクリーンいっぱいにドアップで映し出された!
どっか〜ん!!
やはり「大森」さ〜ん!!!!!

幸い周りには通行人は誰もいないので何度も何度もじっくりと眺めながら・・・しかし、立ち止まって眺めるのはどうみても不自然なので一旦はスーっと通り過ぎる。
Uターンしてみたものの、さていきなり訪問する勇気もない。

さて、どうしたものか、、、
今日のところはこのまま帰ろうか、、、
いろんな思いが交錯する。

赤青黄色のポールが鉄棒です
しかし、
ちょうど都合のいいことに、すぐ隣の敷地は小さいながらも公園になっているではないか。
鉄棒と座るところがはずされたブランコがある。
ちょうどいい鉄棒にぶら下がりながら練習をしているふりをしながら家の様子を伺ってみる。

日曜日でいい天気、玄関のドアは開けっ放しになっている。いまにも中から誰か出てきそうな雰囲気。
するとその時、郵便物を取りに奥さんらしき人が出てこられた!!
花がいっぱい飾られた玄関

公園の鉄棒にぶら下がりながら、玄関の中をそれとなく伺う。
やばい!!
なんとか怪しまれないように逆上がりをしようとするのだが、しばらく鉄棒なんてしたことないのでなんともうまくいかない、上がりかけては落ちてしまう・・・ドテッ!ドテッ!

すると奥さんこちらに気が付いたのかチラット見て、にこっとされたではないか! 思わずこちらも頭を下げたものの、下心があるものだからすんなり声が出てこない。

もう一度家に入いられるところで視線が合った。またニコっとされる。愛想の良い方だ。ここはチャンス!思い切って近寄って
「大森さんですね」
「怪しいものではありません。近くで電気屋をやってるアサミと申します」
「実は三菱の換気扇のカタログを拝見しまして、そこに掲載されている大森さんを探していて偶然見つけましてこうしてご挨拶にお伺いしたしだいです」

と、緊張していてこんなにうまくは言えませんでしたが、奥さんの方は、????一瞬何のことかさっぱり分からない様子、ちょっと考えてから
「あ〜そんなことありましたね・・・」やっと思い出された様子。
「え〜?まだカタログご覧になってないんですかぁ?」

「実は、遠方に居る息子が”三菱電機”に勤めてまして、そんな縁で換気扇の工事をすることになりまして、工事の前と終わった後写真を撮って帰えられた」とのこと
「その後カタログに載せる話は聞いてたけど・・・そのままになっていた」
「もう3年も前のことです
「そうでしたか。そりゃ〜忘れて当然ですね。」
そうか、これでやっとひとつナゾが解かれたことになる。
名前を間違って掲載されても身内同士のことなのでさして問題にもならないな。

「今、私は名刺も、そのカタログも持ってません。せっかくですから今から取りに帰って持ってきますのでちょっと待っててください」
・・・と早速、取りに帰りついでにお近づきの印に菓子折りを買ってすぐお届けに・・・
この段階で自分はかなり興奮していた。もう天にも上るようなやった〜ついにやった”という感じ。
なんかいいことをしたような、、結果をどのように報告をまとめ上げるか・・・そんなことが頭の中をグルグル廻る。

はやる気持ちを必死で抑えながら、再度大森さん宅へ一直線!
ところが、その手みやげがイカなんだか、持っていったカタログに”羽曳野の大山さん”と間違って紹介されているのをご覧になったとたん一瞬表情が硬くなられ、不信感が沸いてきたのか
「どうしてこんなに名前を間違って書いたのでしょうかね?」
「それで、あなたは何のためにこられたのですか?何が目的なのでしょうか?」

まるで、私がそのカタログの製作者で、名前を間違ったので、そのお詫びに手土産を持ってきたと誤解されたのか??
そんな表情にも受け取られる・・・。

う〜ん困った。
なんと説明してよいやら、口べたの本領がのぞく・・・
「いえいえ、私は、単にことの真相が知りたかっただけでして、遠方の電気屋さんなどがその真相を楽しみに待っておられるので・・・」とか苦し紛れの返答・・・
”これはインターネットのホームページのネタなので・・・”なんてどう転んでも告白できない。

こんなものいただいては困るとおっしゃる奥さんに、
「とりあえず、すっきりしました。これはお礼の気持ちなのでお受け取りください」と手土産の「どら焼き」を渡してそそくさと引き上げたのです。
修正なし、紛れもない本物の大森さんです

本当のところはもっとじっくりと説明すればよかったかもしれませんが、どうも苦手です。
かえって怪しまれたのか?
機嫌を悪くされたのか?
黙ってたほうがよかったのか?

さあ、残した名刺には当店の住所やホームページのアドレスが書かれています。

この段階では次回起こることなど予想もつきませんでした・・・

今日の夕方からの2時間は、まる一日よりも長く感じられました。
次へ(第五弾)